相続や空き家の対策あるいは新築への引っ越しといった理由で、これから中古戸建住宅の売却を検討している人もいるはずです。その際には住まいの価値を知るために、不動産会社といったプロの業者に査定を依頼するのが一般的。
ただし一口に査定といっても様々な種類や方法がある上、メリットやデメリットもそれぞれ異なります。そこで査定に関する知識を理解しておくことで、業者に査定額について納得のいく根拠を求めたり、その後の相談や打ち合わせをスムーズに進めるなど、何かと役に立つはずです。
主に3つの査定方法を理解しよう!
前述したように査定方法には様々な種類がありますが、そのうち不動産会社などで最も多く採用されているのが、次の3つ。まず1つめは取引事例比較法と呼ばれるもので、物件が所在する周辺の類似物件の取引事例をベースにしながら、立地条件をはじめ個別性や査定時点での不動産相場などを調整し、査定額を算出していきます。
続いて2つめは原価法で、これは当該物件を新築すると仮定し、その際にかかる費用を算出すると同時に、建物の築年数に応じて調整しながら、査定額を算出する方法を指します。ちなみにその計算式は、再調達価格×延べ床面積×減価修正(残耐用年数÷耐用年数)です。
最後の3つめが、収益還元法と呼ばれるもの。これは不動産の収益性に着目した査定方法であり、当該物件の将来的な利回り等などを算出し、その収益力に基づいて査定を行います。
このうち戸建住宅の査定で採用されるケースが多いのが、原価法です。例えば築年数が11年、延床面積が200m?で、単価が10万円の木造の中古戸建物件があるとして、先述した計算式に当てはめると、査定額は「10万円×200m?×{22年(耐用年数)-11年}÷22年=1000万円」になります。
中古戸建の査定ではこのポイントがチェックされる!
不動産の査定では、建物の構造や耐用年数あるいは耐震基準や方角・立地などの条件に応じて、評価が左右されるのが一般的です。特に中古戸建住宅の査定では、建物の構造と耐用年数は重要なポイント。なぜなら耐用年数は建物の構造別にあらかじめ税法で定められており、築年数が耐用年数に近づくほど、査定額も低く評価されるケースが少なくないからです。
中古戸建住宅の査定では、耐震基準や方角・立地も忘れてはならないポイントでしょう。特に地震大国とも呼ばれる日本では、耐震基準は査定で重視される傾向が強いと言えます。なお耐震基準が見直された1981年6月1日よりも前に建築された住宅に対しては、新しい耐震基準を満たしていない可能性が高く、査定額が低く算出されることも少なくありません。
また不動産の方角や立地についても、高温多湿という日本の風土や気候上の特性から、査定額に大きく影響するポイントです。すなわち南向きで日当たり良好な物件では、査定額も高く評価される傾向があるのに対し、日当たりの優れない北向きの物件では、査定額も低く評価されやすくなります。さらに川や池などの多い湿地帯や、風通しの悪い谷間といった立地の場合も、評価の低い査定になりやすいと言えます。
中古戸建の査定で重視されるポイントを事前に確認!
一口に不動産の査定といっても、その種類や方法は様々です。自分の住まいを有利な条件で売却したいなら、それに見合った査定の種類や方法を知っておくべきでしょう。
特に中古戸建住宅の査定では、建物の構造と耐用年数、そして耐震基準や方角・立地が重視される傾向が強いので、査定前に自分の住まいをチェックしておくことが肝心です。